経営者が「エンジニアの勉強会の費用を払いたくなる」仕組みについて考える


Twitterにて、「カンファレンス参加費(8,000円)を払わないと優秀なエンジニアを失う可能性があるという話」というトピックが話題になっていました。

要約すると、「カンファレンス参加費を出さない会社の優秀なエンジニアがTwitterでそれをぼやいたところ、カンファレンス費用をきちんと出す他社の目に留まって転職が決定した」といった感じです。

さて、(特に日本のIT業界では)カンファレンスや勉強会の参加費用や技術書の書籍代を出さない会社が散見されますが、なぜなのでしょうか。

技術者側の意見としては、

  • 技術者としてスキルを高いレベルで保ち続けるには、継続的なインプットが必要
  • 外部の場で優秀な技術者と知り合えるかもしれない(あるいは、そこから仕事に発展するかもしれない)
  • そもそもエンジニアリングを業務にしているのだから、これは業務の一環であり、当然そこにかかる経費は会社が負担すべきである

というような理由が考えられます。

経営者側の意見としては、

  • 経費を使うことで会社の純益が下がる
  • それが業務に直結するのか、いち技術者の興味本位・趣味本位なのか切り分けができないので経費精算に消極的になる
  • 目の前の案件を作って納品するので精一杯なのに、カンファレンス・勉強会なんていう成果を測定できないものに投資できない
  • そもそもカンファレンス・勉強を「社外のプライベート飲み会」みたいなものだと捉えている

のような理由が考えられます。

もちろん、「カンファレンス費用出さないなら転職する」という最後通告を突きつけて市場の淘汰を待つことも簡単ですが、上述したような経営者の考え方をケアしてあげることでもっとWin-Winな道を探ることができるのではないかと。

私が経営者であったら、以下のような仕組みを考えます。

社外勉強会・カンファレンスに参加、あるいは技術書を購入したら、その内容について社内で5~10分程度のLTを義務付ける。そのLTを持って会社の業務として経費精算とする。

この仕組みは以下のようなメリットがあります。

  • 外部で得た知識を他のメンバーに横展開することで、チーム全体のスキルの向上(すなわち、生産効率の向上)
  • 外部で得たものを可視化することで、「無駄遣いではなかった」ということを経営層にアピールできる
  • 学んだことを再度整理して自分の言葉で発表することは、技術者自身の成長につながる

順に少し説明を加えていきます。

外部で得た知識を他のメンバーに横展開することで、チーム全体のスキルの向上(すなわち、生産効率の向上)

技術者でいるとどうしてもスタンドプレーに偏りがちな方もいると思いますが、基本的に会社での開発というものはチームでやるものです。(個人制作でも、全部が全部自分だけで完結できるプロダクトを作るのはレアだとは思いますが。

200の力を持つエンジニアと0のエンジニア×4よりも、30の力を持つエンジニアが5人いたほうがチームとして力を発揮する場合もあります。

自分の力をセーブしろ、と言っているのではなく、「チームの他にメンバーの力も底上げしていこうぜ!」という発想が必要だということです。

そもそも、自分のみに実力が集中していると業務負荷が集中して自分が潰れやすくなります。

経営者側からしてみても、「あいつ一人行かせるだけでチーム全体のノウハウが強化されるのだから安いものだ」と考えることができれば、コストメリット的な観点からもそこに投資する合理的なメリットが生まれます。

各々自分の好きな勉強会に行って全員が共有すれば、社内では「技術内容のダブリ」がなく、幅広く知識を身につけられるような組織を作ることができるでしょう。

外部で得たものを可視化することで、「無駄遣いではなかった」ということを経営層にアピールできる

経費精算に消極的な経営者は「それ私用じゃないの?」「本当に業務に役に立つの?」「そもそもちゃんと出るの?」ということに対して敏感です。

社内で自分の学んだことをわかりやすく再度まとめて共有し、成果として可視化する。

このようなプロセスを経ることで、上述したような経営者の疑問点を解消することができます。

学んだことを再度整理して自分の言葉で発表することは、技術者自身の成長につながる

勉強会をすることで一番成長するのは「発表者」だと言われています。

スキルアップを志向する技術者ならば、ぜひ発表の場を設けて成長を促進させてあげるべきです。

ちなみに私は勉強会で2度発表をしています。

実際の感触として、資料を作るのは結構頭を使いますし、いざ発表するとなるとどうしても緊張します。

しかし、それに見合うだけのものはあったと信じています。

 

以上、カンファレンスの経費精算を巡って経営者と技術者がWinWinになれるような仕組みを考えてみました。